連載ダイビングコラム
海にいる危険な生物!!
海にいる危険な生物。皆さんはどのくらいご存知ですか?
「綺麗な魚やサンゴを見たい」と思ってダイビングを始めた方もいると思います。むしろ大半がそうでしょう。
しかし、海の中は少し危険な生物もいます。実は、色鮮やかなキレイな魚こそ危険!!なんてこともあります。
美しい魚だからと触りたくなる気持ちもとてもわかります。しかし、生き物に触るのは厳禁です!!
それを知っているのと知らずにダイビングをするのでは楽しさや対応が変わってきます。
今回はそんな危険な生き物について、伊豆などの近場でもよく見られる危険生物をいくつか紹介していきます!!
【危険生物①ミノカサゴ】レベル★☆☆
「わぁ~キレイ!!」とつい手を出して触ってしまいそうになるミノカサゴ。
海水浴場でも稀に見ることもあるでしょう。皆さんも一度は見たことがあるかと思います。
北海道南部以南の日本の沿岸から太平洋南海西部、インド洋に生息する「ミノカサゴ」をはじめ
「ハナミノカサゴ」「ネッタイミノカサゴ」といったミノカサゴ系には
「背びれ」「腹びれ」「尾びれ」に毒を持つことで有名。
唐揚げにするとおいしいカサゴ類ですが、ミノカサゴと同様に、ヒレに棘があり、有毒です。
刺されると人によってはかなり重症に至ることも。
彼らは周囲の環境にうまく擬態する為、一見、存在が分からない事も多いのです。
その為、むやみに海底に手をついてしまうと、そこに隠れていることもあります。
対策としては、「着底しないこと」が大きなポイントです。
どうしても着底しなくてはならない状況の場合は、しっかりグローブなどえお装備し、
手足をつく場所に何もない事をよく確認することが大切です。
【危険な生物②ガンガゼ】レベル★★☆
「ウニ」とよく似ている生物。しかし、これはウニの仲間で「ガンガゼ」といいます。
ダイビングでよく見かける生物です。
鋭く尖った棘には毒があり、刺されるとしばらく痛みが続きます。
この黒く長い棘は、細くて折れやすく、返し状になっている為、刺されると皮膚に棘が残りやすい。
又、棘は鋭い為、スーツも容易に突き通してしまいます。
シュノーケリングできる水深にいることもあるので、ブーツを履いて足を保護するなど対策が必要です。
ガンガゼは、インド洋、西太平洋の温かい浅海に生息していて、日本では房総半島や相模湾より南の海で、水深15m程の海域の岩の陰やサンゴ礁などで見られます。又、単独で岩陰などに生息していたり、開けた海底に集団で生息している為、注意が必要です。
【危険な生物③ゴマモンガラ】レベル★★★
卵を産む頃からハッチアウトするまでの間、魚界で最も凶暴になるといわれているのが『ゴマモンガラ』
ゴマモンガラは自分が海底に産んだ卵をひたすら守っているのです。
卵に近づく者は何も許さないとばかりに、猛烈な勢いで泳いできてはガブリと噛もうとします。
それを知らずに近づいてしまったダイバーが「何針も縫うような大怪我をした」というのは少なくない話です。
死亡に至ったスノーケラーもいるほど。しかし、この時期ではないゴマモンガラは近づいてもそこまで攻撃してこないので不思議です。
ただ、よく観察しなければ、産卵期かどうかわからないので、「むやみに近づかない」ことが大切です。
【危険な生物④ゴンズイ】レベル★☆☆
8本の口ひげがあるナマズ目の海水魚。「ゴンズイ玉」と呼ばれる集団で群れを作り、移動する習性がある。
「背びれ」「胸びれ」の第一棘条には高分子タンパク毒を持つ棘があり、これに刺さると激痛に襲われる。
この毒は死んでも失われず、死んだゴンズイを知らずに踏んでしまったり、触ったりしても激痛を伴うので注意が必要。
【危険な生物⑤オニヒトデ】レベル★★☆
オニヒトデは大型のヒトデと言われており、30センチ~60センチ程まで成長します。
多数の腕を持ち、全身が棘の覆われており、体の色は灰色やオレンジ、青色など様々です。
サンゴの下などに隠れて生息しています。
度々、沖縄でも大量発生が問題になり、駆除中の事故も発生しています。
成長の速いミドリイシ類やコモンサンゴ類を食べ尽くして成長の遅いサンゴまでも食べる為、サンゴを死滅させてしまう
危険性が問題視され、サンゴ礁環境のなかでは、保全上有害とされています。
オニヒトデは毒があり、指先を刺されただけで手がグローブのように腫れてしまうことも。
又、場合によっては毒によりアナフラキシーショックと呼ばれるアレルギー反応を起こして、呼吸困難などの全身症状を生じることがあり、最悪の場合、死に至るケースも発生しています。
【まとめ】
今回紹介したほかにも、海中には危険な生物が存在しています。
その最も有効な対処法は『近づかない』ことです。
どれだけ危険な生物であっても、理由なしに人に襲いかかってくることはほとんどなく、極めて稀です。
そして、もう一つ大切なことは『生き物に触れない』ということです。
これは危険回避の方法であるとともに、海の生態系を守る『マナー』でもあるのです。
初めての場所でダイビングをするのなら、その場所に生息する危険を予習しておくことも重要です。
海に対する知識は自分自身の身を守るだけではなく、大切なバディや仲間を助けることに繋がるかもしれません。
色々な知識を持ってこそ、安全で楽しいダイビングが出来るのです!!